夏休み

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「お前は、あの人の前でもそんな風にひくつになってるのか」 「卑屈って・・・・・・」 「とてもいい人そうじゃないか。お前のことも、大事にしてくれていそうだった」 「大事にしてくれてるよ」  めちゃくちゃ。他人とは思えないくらいに十分すぎるほど。  でも。だからこそ。だからこそ、怖いんだ。 「俺、誉められた生き方してねぇ。お前だって知ってるだろ。喧嘩ばっかして、ぐれて、荒れて、どうしようもねぇ奴とばっかつるんで。その結果、さんざんな目に遭って後悔すんだ」 「この間のこと、まだ癒えてないんだな」 「そういうことじゃねぇ。お前のこと巻き込みたくなくて離れる決心したのに、結局こうなっちまったけど、本当にもう誰も巻き込みたくねぇんだ。俺と関わると、ろくなことないってお前だって知ってるだろ」  それは自分がしでかしたことの報いで。 「後悔するなら改めればいい。もうそんな関係はすべて断って、新たに築いていけばいい」 「無理だ・・・・・・。俺なんか」 「琥太郎は、そうやって自分をダメだ不良だと下に見るが、俺はそうは思わない。お前は、俺が強引に授業につれていったときも、文句は言ったが教室から出ていくことはしなかった。今では成績だってかなり上がっただろう。お前はやればできるやつだ。今までの出会いがダメだっただけだ。お前は、もうたくさん得ているだろう」  宥めるように、訴えかけるように。  沖村の言葉は、どこか説得力があってストンと胸に染み込んでくる。
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