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「怪我をしてしばらく休んでいたお前を、洸はお前を心配していた。眞白もだ。眞白は、過去のことがあって、あまり洸以外の人間とは深くかかわらなくなった。それでも、お前は違った。ああやってからかうのも、お前に心を開いている証拠だ」
「・・・・・・」
「今度、笹塚ってやつにも会ってみるといい。元は眞白の友人で、今は洸とも仲がいい。きっと、お前ともうまくやれるはずだ」
俺にも、ちゃんと友人が作れていたって言いたいんだろう。
でもそれは、沖村が与えてくれたものだ。
「それに、琥太郎のお父さんだって、あの智子さんだって、みな、ちゃんと琥太郎のことを思ってくれている。大切にしてくれている。その事をちゃんと理解しろ」
「・・・・・・沖村」
「俺にだってできてるんだ。お前にだってできる」
沖村にも?
俺が首をかしげると、沖村はフッと笑う。
「俺は、冷たい雰囲気だろう。言葉もきついし、愛想もない。人当たりもよくはないし、真面目すぎるとよく言われる。家族とだって、うまくいっていない。だが、俺にも洸という幼馴染みがいる。洸が繋げてくれた眞白や笹塚という仲間がいる」
沖村の手が、俺の頬に触れた。
息を飲む。沖村のまっすぐな瞳に吸い込まれそうだ。
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