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「ただいま!」
沖村も帰って、すっかり遅くなった頃おっさんが帰ってきた。何やら慌てている様子。
俺は風呂上がりに、智子さんとテレビを見ていた。団らんは必要だと力説され、夜はこうして一緒にテレビを見ていることが多い。
今までにないことで戸惑うが、嫌ではない。
「おかえりなさい。慌ててどうしたの」
「あの、沖村くんは? 琥太郎くんのお友だち」
「もう帰ったわよ」
智子さんが慌てた様子のおっさんの対応をする。荷物を受け取りながら、なにいってるのと笑う。
沖村に会いたくてそんな慌ててたのか。帰ったと聞いてあからさまにがっかりしている。
「そんな会いたかったのかよ」
「会いたかったよ。琥太郎くんの友達に、どうも琥太郎の父です、ってやりたかったんだよ」
目的それかよ。
こっぱずかしいからやめてくれ。
「やんなくていい」
「えぇー。夢なんだけどな」
「高校生の息子の友達にそんな風に出てくる親なんていねぇだろ」
知らねぇけど。そんなん小学生までじゃねぇの。
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