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「そっかなぁー」
それでも、諦めきれねぇらしい。
「今度またつれてきたときに、紹介してやるよ。・・・・・・俺の父親だって」
「こ、琥太郎くん・・・・・・」
「はっ!? な、泣くなよ!」
仕方なくそういっただけなのに、おっさんはみるみるうちに泣き顔になる。智子さんは笑いながらおっさんにティッシュを渡していた。
「嬉しいのよねえ、太郎さん。琥太郎くんに父親だって言ってもらえて」
「・・・・・・だって、事実なんだろ」
「それでも、受け入れてもらえるのは本当に嬉しいのよ」
「ありがとう・・・ありがとう・・・・・・」
何でそんなことくらいで喜んでくれるんだ。父親だって、ちゃんと認めてた。そりゃあ、父さんとも親父とも恥ずかしくて呼べないけど。
それでも、俺の父親がおっさんだってことはもう受け入れてた。
沖村が俺とおっさんが似てるって言ってた。それも嬉しかった。俺と親子ってわかる前からちゃんと似てるって見てわかったんだ。
「琥太郎くん。私のことも、お母さんって呼んでくれていいんだからね」
「ど、努力します・・・・・・」
「無理にじゃないからね」
「無理とかじゃなくて、恥ずかしいっつぅか。てか、智子さんはいいんですか。おっさ・・・・・・父さんとは血の繋がりはあるけど、智子さんは父さんの奥さんってだけだから、俺のことまで背負いこむことないっつぅか」
「あら。太郎さんの息子なら、私にとっても息子なの。それは、決定事項なのよ」
前も、そう言ってくれた。俺をここに住まわしてくれるって話をしたときも。本当にこの人は心の広いいい人だ。
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