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未来に向けて
夏休みーーそして冬休みも経て二月を過ぎ、俺も沖村も無事進路が決まった。
沖村は大学、そして俺は父さんに最初に提案された美容の専門。
学費は父親が出してくれると息巻いていた。でも、少しは足しにしたいと進路が確定してからバイトも始め、働いて給料を得るという大変さを身に染みて感じている。
「二ノ宮ーーじゃなかった、立川だったな。すっかり見違える姿になって、先生は嬉しいよ」
「ばっかじゃねぇの」
父親の籍に入った俺は名字を二ノ宮から立川に変えた。これまでの自分と一新できた気がしてスッキリしている。
俺の事なんか諦めて沖村に押し付けた担任は、さも自分の手柄とでも言いたそうに感涙している。勝手にしていろと思う。でも、おれ自身こんな風に専門学校にいく道を繋げているなんて思いもしなかった。
「琥太郎、帰るぞ」
委員会の仕事だと出ていた沖村が教師に戻って俺を呼ぶ。
担任として片付けをしていたついでに俺と話していた担任が何やら感慨深そうにしながら教室を出ていった。
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