1126人が本棚に入れています
本棚に追加
「何を話してたんだ」
「勝手に感動して納得してでてった」
「なんだそれは」
「沖村に全部押し付けたくせに、都合がいいやつ」
その言葉に、意味を理解したのか肩をすくませ自分の席から鞄を掴んだ。
俺も鞄をひっ掴むと立ち上がる。
「まぁ、担任も感慨深いんだろう。俺もお前がちゃんと卒業できるなんて本当に感慨深い」
「けっ、お前がいったんだろ」
「ほんと、素直で可愛いよ」
「もう聞き飽きたっつぅの」
お前の可愛いは。
「今日は、両親に譲ってやるが、明日はちゃんと俺と過ごせよ」
「わかってるよ。別にたかが誕生日だろ」
今日は、俺の誕生日。十八になる。俺にとって誕生日なんて別にたいした行事じゃない。祝われたことなんてないし、プレゼントなんてあるような家じゃなかった。
だから、別に今年もなにも考えてなかったんだけど。
一月くらい前から智子さんーー母さん(そう呼ばないと最近は返事をしてくれない)には当日の夜は開けておけと言われるし、それを沖村に告げるとがっかりしたようにしながらも、次の日を押さえられた。
最初のコメントを投稿しよう!