未来に向けて

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「何を話してたんだ」 「勝手に感動して納得してでてった」 「なんだそれは」 「沖村に全部押し付けたくせに、都合がいいやつ」  その言葉に、意味を理解したのか肩をすくませ自分の席から鞄を掴んだ。  俺も鞄をひっ掴むと立ち上がる。 「まぁ、担任も感慨深いんだろう。俺もお前がちゃんと卒業できるなんて本当に感慨深い」 「けっ、お前がいったんだろ」 「ほんと、素直で可愛いよ」 「もう聞き飽きたっつぅの」  お前の可愛いは。 「今日は、両親に譲ってやるが、明日はちゃんと俺と過ごせよ」 「わかってるよ。別にたかが誕生日だろ」  今日は、俺の誕生日。十八になる。俺にとって誕生日なんて別にたいした行事じゃない。祝われたことなんてないし、プレゼントなんてあるような家じゃなかった。  だから、別に今年もなにも考えてなかったんだけど。  一月くらい前から智子さんーー母さん(そう呼ばないと最近は返事をしてくれない)には当日の夜は開けておけと言われるし、それを沖村に告げるとがっかりしたようにしながらも、次の日を押さえられた。
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