未来に向けて

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 くそ。なんでこんなーー。 「えっ、こ、琥太郎くん?」 「わ、わ、どうしたのっ」  慌てて袖で拭う。男の癖に祝われて泣くとかバカみたいだろ。  かっこわりぃ。 「なんでも、ねぇ」 「なんでもって、なにか嫌なことあった? ちょっとオーバーにやり過ぎたかな。高校生だもんね。ちょっと恥ずかしいかな」 「ち、ちげぇよ!」  父さんは俺が泣いてるのを嫌だったからだと思い込んだらしくアワアワしている。ほんとどうしようもなく弱気なやつ。 「嬉しいんだよ。・・・・・・こんなん、初めてだったから」  恥ずかしいのを抑えて白状すると、驚いたように目を丸くさせた父さんが笑った。 「よかった! 喜んでくれたんだね。そっか初めてか。でもこれからは毎年こうだからね!」 「毎年って・・・・・・」  さっき高校生相手にって気にしてたやつの発言とは思えねぇな。  思わず笑いながら促されるままに席についた。
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