未来に向けて

9/15
1120人が本棚に入れています
本棚に追加
/241ページ
「琥太郎!」 「よお、沖村」  沖村との待ち合わせは駅。沖村んちに来いって言われると思ってたから少し驚いた。  駅から出てくる人の流れのなかに沖村を見つけた。 「待ったか」 「いや。時間通りだろ」  二人で並んで歩くのも、すっかり慣れた。今ではなんだかしっくりくる気がする。 「どこ行くんだ?」 「電車で少し遠出をしようと思う」 「遠出か」 「水族館なんて、どうだ?」  沖村が提案してきたのは思いきりデートスポットになりそうなところだった。家族連れも多いだろう。男同士って、いるのか?  目立たないか? 「嫌か?」 「い、嫌じゃねぇよ。ただ・・・・・・、目立ちそうだな、と」  しかも、俺だぞ。見るからに目付きも悪いし、不良だし。髪の色は受験のために黒くしてからまだ戻してないが。 「誰も、他人のことなんか見ていない。見ていたとしても、気にしなくていい」 「お前って、ほんとそういうところ男らしいよな」 「惚れ直したか?」 「はっ!? バ、バカか!」
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!