1126人が本棚に入れています
本棚に追加
「琥太郎!」
「よお、沖村」
沖村との待ち合わせは駅。沖村んちに来いって言われると思ってたから少し驚いた。
駅から出てくる人の流れのなかに沖村を見つけた。
「待ったか」
「いや。時間通りだろ」
二人で並んで歩くのも、すっかり慣れた。今ではなんだかしっくりくる気がする。
「どこ行くんだ?」
「電車で少し遠出をしようと思う」
「遠出か」
「水族館なんて、どうだ?」
沖村が提案してきたのは思いきりデートスポットになりそうなところだった。家族連れも多いだろう。男同士って、いるのか?
目立たないか?
「嫌か?」
「い、嫌じゃねぇよ。ただ・・・・・・、目立ちそうだな、と」
しかも、俺だぞ。見るからに目付きも悪いし、不良だし。髪の色は受験のために黒くしてからまだ戻してないが。
「誰も、他人のことなんか見ていない。見ていたとしても、気にしなくていい」
「お前って、ほんとそういうところ男らしいよな」
「惚れ直したか?」
「はっ!? バ、バカか!」
最初のコメントを投稿しよう!