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ははん、と誇らしげに笑う沖村にキョドってしまう。顔が熱い。くそ。
つくづくこいつには振り回されてばっかだ。
「ほら、電車に乗るぞ」
沖村につれられ電車に揺られ、水族館にやって来た俺たち。入場し、水槽を眺めながら歩く。案の定カップルや家族連れの多い中男同士で見て回ってる自分達がすごく浮いて思えた。男同士ももちろんいない訳じゃない。でも、やっぱり比率は少なく、いたとしてもグループだったりだ。
「おい、琥太郎。見てみろ」
ぐいぐいと俺の裾を引っ張りながら沖村が言う。沖村は本当に、全く気にしてないみたいだ。気にしている自分がバカらしくなる。
引っ張られるままについていくと、そこには水槽の中一匹ひっそりと隅っこにいる魚がいた。赤い紋様の小さな魚。
「これがどうかしたか」
「琥太郎に似てるだろう」
「はあ?」
何の気なしに眺めていたそいつに似てると言われ怪訝な目を向けると、沖村は楽しそうに声をあげる。
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