プロローグ

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「来週から二ノ宮が登校してくる。沖村は委員長だろう。あいつの面倒を見てやってくれないか」  職員室まで出向き、担任が駒付きの椅子に座って、気だるそうに切り出した。 「はい?」  話が見えない。面倒ってなんだ委員長だからってどうした。そもそも二ノ宮って誰だ。って思った疑問は息継ぎなしで全てぶつけた。担任は面食らったように目を見張り、小さく息をはいて一つ一つ答えを出していく。最初からそうしてくれ。 「二ノ(にのみや)琥太郎(こたろう)。今、喧嘩で一週間の停学中だ。そいつが来週から復帰予定なんだ。生活態度に問題ありのやつで正直手を焼いている」 「だからなんですか」 「留年は免れたがこのままでは卒業は危うい。出席日数も成績も。それにまた喧嘩沙汰を起こされたらたまったもんじゃない」  何で教師の愚痴を延々と聞かされないといけないんだ。その不良と俺と、なんの関係が。ん? 面倒を見ろとか最初にいっていたか? 何で俺が。 「だからこそ、どうか委員長であるお前があいつの面倒を見てやってほしい」 「なんで俺が」 「クラスをまとめあげる委員長だろう」 「委員長の仕事に不良の更正なんてありません」 「そんなことを言わずに頼む! 教師の言うことを聞くようなやつじゃないんだ」
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