プロローグ

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 まぁ、それはそうだろう。教師の話など、どうせ反発するだけ。だからといって同じ生徒の話を聞くとは思えない。喧嘩で停学ってことは、短気ですぐに手が出る単細胞ってことだ。暴力でしか自分を強く見せられない弱い人間。バカの極みだ。  そんなやつとなぜ関わらないといけない? 委員長だから? ふざけんなよ。 「頼む! これ以上大きな問題が起きてしまえば、他の生徒の評判にも影響するだろう!? それは、沖村だって困るんじゃないか?」  何て卑怯な大人だ。まるで脅しじゃないか。評判が落ちて困るのは学校側だろう。確かに、生徒自身も迷惑被るのはそうだろうが。自分達の体裁のため。そんなことがひしひしと伝わってくる。ああ面倒だ。こんな大人の話など、俺だって聞きたくない。だからって、その二ノ宮って男みたいに反抗して自分を貶めることはするはずもないが。 「わかりましたよ」  少しだけ。その男に同情してしまったのかもしれない。 ーーのは、大きな間違いだった。  週明け、月曜日に学校に向かう。今日から登校するという二ノ宮だったが、一限が始まっても姿を現さなかった。  ピキーン、と苛立ちスイッチが入る。ふざけてんのか。初日からサボるとはいい度胸だな。
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