ふざけた関係

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 めちゃくちゃ、本気で踏みつけやがった。ケンカ売ってんのか。買うぞ、コラ。と飛び起きて臨戦態勢になると、目の前に飛び込んできたのは拍子抜けするような真面目くさった男。  眼鏡をかけてて黒髪サラサラヘア。ビシッとお手本かのように着整えられた制服。制服をそこまで完璧に着ている人間を初めて見た。いや、いるのかもしれないけど、俺の回りには絶対にいない人種だ。 「なんだ、てめぇ」 「沖村(おきむら)拓海(たくみ)だ。お前と同じクラスの委員長だ」  委員長! っぽい! ぽいぽい! わかるわぁ。この真面目な感じ。THE、委員長って感じ。なに、漫画の中から飛び出してきたの? 「あぁ? そのいいんちょーさんがなんなんだよ」 「お前の面倒を見るように言われた」 「ぷっ、いいんちょーって大変だなぁ。こんな不良の相手もしないといけねぇの?」  吹き出してバカにすると、さっきからずっと不機嫌そうに寄せられている眉がいっそう深くシワを刻んだ。 「こっちも不本意だ。お前なんかに貴重な時間を割くなんて、時間の無駄だからな」 「けっ、だったら放っておけよ。無駄な時間すごすことねぇだろ」  無駄な時間かよ。好き放題言いやがって。どうせただ、教師に言われたから仕方なく来てんだろ。ついに生徒を寄越してきたか。教師連中は匙をなげたっつぅことだな。どうでもいいけど。
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