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「今は、お前の意思を尊重する。始めだしな。明日からは、容赦しない」
「は? 容赦しないとか、なにするつもりだよ。真面目くんがなにができるって?」
そうバカにして笑ってやった。真面目クンはそれには答えず屋上から出ていった。
どうせ大したことねぇ。ただビビんねぇだけでなにもできるわけねぇ。今までだってそうだった。教師も、ただ授業に出ろだとかこんなことはもうやめろ、だとか。チンケな言葉を並べるだけ。なんも響くことはない。
教師に言われて渋々やって来たような真面目クンにはなにもできねぇ。
「はぁぁ!? てめぇ、なにすんだよ!」
次の日、屋上でサボってやろうとホクホクしながら向かうとその先に待ち受けていたのは昨日の真面目クン。手にはなぜかロープを持っていた。怪訝に思いながら何をしに来たのかと問うと、授業に出る気はあるのかと問われた。
昨日あのあと授業をバックレたことを根にもってんのかと面倒だなと思いながら、あるわけねぇ、って答えたら、持っていたロープで徐に俺の体を縛り上げた。その手際のいいこと。
「ほどけ! おい、コラ! いい加減にしろよ!」
「いい加減にしろ? それはこっちの台詞だが」
そう言って俺を睨み付けたその瞳は、氷点下のごとく冷えきっていた。まてよ。なんだ、こいつ。なんで俺が言い返せねぇわけ。でも、なぜかその瞳を前に俺は言葉を失っていた。
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