大人でも子ども、子どもでも大人

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「とりあえずさ、なんかある度にズボンずらすのやめてくんない?」  目を少し逸らしながら私に言う。その姿はかわいいはずなのに、ぜんぜんムラムラしない。なんかちょっと寂しい。 「タクロー、なんかちょっと成長したよね?」  タクローの話を無視して私は私の言いたい事を言う。別にズボンをずらすのを止めたくないとかではないけど、止めなくてもいいなら止めないつもりだ。  神様はみんなの為に存在するものだと感じているから、タクローが独り占めするのはズルいし間違っている。と思う。それがタクローに付いてるものだとしても。 「そう言われると、デカくなったような気もする。昨日より、サクラの頭の位置が近いし」  身長の話。 「でしょ? 多分寝てる間に、止まってた分の成長が一気にやってきたんじゃないかな? 寝る子は育つって言うし」  一日家にいただけなのに、冷蔵庫からさっと麦茶を取り出してローテーブルの上に置いてあったコップに麦茶を注ぐ動作が手慣れて見える。目を合わせないタクロー。麦茶を一気に飲み干すタクロー。水滴だけが残ったコップを見つめるタクロー。何かを熟考しているタクロー。  
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