その光、覗かせて、

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 年の終りはいつも、少し、悲しい。  一つ、一つ、時が過ぎていくのを一番に感じる日。 「えー、正月楽しいからいいじゃん」 「・・・そう言うもんだい?」 「そう言うもんだい」 「・・・」 「いいじゃん。別に。過行く年に悲しむより新しい年を楽しもう」 「楽しいことある?」 「あるある。俺と一杯楽しいことしよう」 「2019年はどんな年になるかな」 「それはこれからわかるよ」 「・・・2018年は、忘れちゃうかな」 「なんでそんな2018年に拘るんだよ?」 「それは・・・」  別に、なんのことはない。  ただ、一年が終わり、  新しい一年が始まるだけのこと。  だけど、 「・・・あなたと過ごせる一年が、また一つ・・・」  時々、思う。  未来なんか永遠に来ず、このまま時が止まればいいのに。  彼と二人きりのまま、  永遠の時を・・・。 「・・・減っちゃったから」  ただ、それを一番感じる日だと言う、  それだけの話。
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