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彼の地では、米が実ると言う。
そなたは田圃というものを見たことがあるまい、秋には一面が、金色の野のようになる。それはそれは美しい光景なのだと兄に言われたが、一体それが何だというのか。
確かに、生まれてこの方、この地を離れた事の無い千鶴は、田圃も金色の稲穂も見たことは無かったが、米に不自由したことは無い。
だが、新しく主家に与えられた移封先の石高は、九千石。
たったの九千石である。
大名とすら、言えなくなってしまう。
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