第4章:思慕

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『セシル様!人の目を盗んで何バカやってんですか!あんたの魔法!どんだけ体に負担掛けるかわかってますよね?!』  体さえ治れば少しぐらい疲労が来ても平気だと思っていたけど、限度をなめてかかっていたようだ。反省すれども時すでに遅し。もっと早く怒鳴ってくれよと、サアラに無理な八つ当たりをすれば、ただでさえ痛い頭にげんこつを食らった。 「こんなことになったのって、あの時以来だよな…あの時はもっとひどかったけど」  8年前、セシルが8歳だった時、1週間ほど昏睡し、その後も2ヶ月頭痛と体の倦怠感で苦しむぐらい、魔力を使いすぎたことがあった。  セシルは普通の魔術師と違い、魔法使役の際体に負担がかかる。  普通の魔術師は、体から魔力エネルギーを生み出すのに疲労がたまる。魔法を使用していない時でも人間は、生命活動に必要な分も含めて、一定量の魔力を保有している。それが使われ少しでも減ると、体内の魔力を一定に保とうと体が魔力の生産を始める。しかし、戦闘などで多量に使うと、やがて体の魔力生産能力に限界が来て魔法が使えなくなる。それと共に、魔力生産での疲労もピークに達し、動けなくなるというのが普通だ。     
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