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出立前、玄関の前で頬を押さえうなだれるセシル。日の出はまだだが、空はだいぶと明るくなって清々しい朝焼けだった。
「おいサアラ…何も武闘会の日にまでみみずばれ付けてくれなくてもいいだろ…国中からもだし、他の国からも人が見にくるんだよ…オレ恥ずかしくて…」
「観客席から下まで距離があるから大丈夫です、見えないですよ!」
サアラは笑顔でバッチグーする。笑顔久しぶりに見れてうれしいっちゃあうれしいけど。
「けど、他の選手とかと会ったら絶対これ痴話喧嘩だと思われるだろ…。全国から来るってのに、変な噂が立って…ああ…」
「その点は大丈夫。以前からお前の周囲にはそういう噂会ったから。…セシルは侍女ちゃんと付き合ってて尻に敷かれてるってさ。さっさと結婚すればいいのに爆発しろって」
ラウルがあきらめろと、ぽんぽんとセシルの頭を叩くようになでる。
「嘘だろ?!……ただの幼馴染だって聞かれるたびに言ってんのに!!好き勝手に噂つくりやがってえええ」
男の世界も女に比べりゃましかもしれないが、噂好きだし野次馬根性のやつらばかりだ。
「じゃあ、いわゆる愛妻弁当まで持っていけば、オレ確実に奴らの格好の餌食だな…」
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