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第4章:思慕
4-①:口止めは息の根から。
「……」
セシルは自室のベッドの上で、枕に突っ伏していた。
「…う~、気持ち悪い」
頭がくらくらして起き上がれない。体の怪我はほぼ治っているのだが、魔法を使いすぎた後遺症が2週間たっても抜けきらない。
『セシル様、しばらく絶対安静!』
あの日以降、セシルはサアラに、部屋に押し込まれ閉じ込められている。閉じ込めなくても、こんな体じゃ逃げれないっつーのと文句を思いつつも、セシルは最早口に出す気力もない。
あの事件の後、救助を待っている間、セシルは人目を盗んで、右手の骨折をなおした。アメリアの治癒魔法で重傷を軽傷にしてもらっていたのだが、おそらくあの男に自身の魔法を疑われることを考えたのだろう、右手までは治してもらっていなかった。
利き手が折れているのを普通に治そうとすれば、時間がかかるから面倒くさい。それでセシルは腕を万全に戻したのだが、その途端強烈な眩暈と頭痛に襲われ、座るバランスさえ失い座席の隙間に転げ落ちた。それで、事態に気づいたサアラに、慌てて抱き起こされた。
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