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第2章:何億分の1
2-①:愛情≒毒
「セシル様、おはようございます。朝食の準備ができました」
「ああ、おはようサアラ」
武闘会の朝。セシルは少々忙しいので、部屋に入ってきたサアラに返事だけ返して服に袖を通す。時刻はまだ4時半を回ったところだが、セシルは着替えをしていた。試合準備の最終チェックやら、各国からの迎賓の出迎えの準備やらで早めに出なければならない。外交の職を持っている兄上も一緒だ。
今頃カイゼルの侍女アメリー(本名アメリア)は朝に弱いカイゼルをたたき起こそうとしている頃だろう。いいや、叩いても起きないから、鼻と口を同時に塞いでみようとしている頃かもしれない。………と、
「はえ?」
下穿きに足を突っ込んだところで、頬に何か固いものが押し当てられた。視線だけをやると、何やら包みに包まれた箱?を無言でサアラが押し付けている。
「……サアラ?」
「……お弁当」
「ほえ?」
「だから今日のお弁当だってば!」
「オルベントウ??ふえ?」
「わかんないの?!お弁当!!」
急に耳元で叫ばれたので、片足を下穿きに突っ込んだだけの情けない下着姿のまま、セシルはしりもちをついた。
「わかった分かった!」
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