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両邸にはそれぞれ、『淫花廓』で働く人間が暮らしている。すなわち、客に身を売っている人間、というわけである。
『淫花廓』最大の特徴は、そられすべてが男性である、ということだ。
『しずい邸』は、その名の通り雌蕊……雌の役割をする男娼が。
『ゆうずい邸』には、雄蕊……雄の役割をする男娼が。
各々、事情を抱えながらもここで働いているのだった。
その両邸から放射線状に石畳の渡り廊下が伸び、庭園や人工池などを挟みながら六角形の小さな建物が点在している。
蜂蜜色の屋根をしたそれは、蜂巣と呼ばれ、客が男娼とひと晩を共にするための場所であった。
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