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線の細い身体と、一見すると人を惹き付ける美しい容姿を持ち合わせているからだ。
しかし、水揚げ前の研修を終えたアオキを見て落胆した楼主の顔は今でも覚えている。
この遊郭ではいくら見目が麗しくてもそれだけではやっていけない。
アオキは正にその一例で、決定的に欠けているものがあった。
それは性欲だ。
ここ男娼専門の遊郭『淫花廓』はその名通り、淫乱な質の男娼が多い。
元々の素質もあるのだが、そのほとんどは水揚げ前に行われる性技の研修によって肉体を開花させられる。
特にここ、抱かれる側の男娼が働く『しずい邸』の男娼はセックスが好きなものが多い。
いや、溺れていくといった方が正しい表現なのかもしれない。
当然ながらアオキも水揚げ前の研修を受けさせられた。
男衆と呼ばれる性技を教育するために仕える男達の手によって、ここで働かなければ知りもしなかったような数々の淫具を駆使され、肉体を淫らに変える性技と男を悦ばせるノウハウを学ばされた。
しかしどういうわけかアオキの肉体は頑なで、手管に長けた男衆のどんな淫戯にも反応しなかったのだ。
それなら実践で覚えろと、これまで色んなタイプの客の相手をさせられた。
初めはその人目を惹く美貌で選ばれてはいたが、肝心の性欲が伴わないアオキから客が離れていくのは当然だった。
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