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俺の名前は蟻吏手霧鳥。
いつも薄っぺらい財布を見て、沈んだ気持ちになる。
昔は生活に困るようなこともなく、貯金もしていた。
別に、金が全てではないと思っている。けれど……
家の中でゲームばかりしていつの間にか家出した兄さんと違い、俺は有名な大学の法律学科を出て、いい会社にも入った。
それがどうだろう。
2ヶ月前に突然会社が倒産したと告げられたときから今日まで、俺は地べたを這いつくばっている。
スーパーのアルバイトと倒産した際に出た退職金で、何とか凌いでいる今の生活。
何とも理不尽ではないか。
俺はもう何日も敷きっぱなしの布団に重なり、明日を憎み、夢の中にいつまでも居たい衝動に駆られながら眠った。
瞼が閉じていく中、誰かが俺の前に立っていた気がした……
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