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「こ、この度は、大変申し訳ありませんでした!」
「金に手を出したみたいだね」
「済みません! ほんの出来心で!」
バサラは頭を下げる。
「私の監督不行き届きです!」
キノも頭を下げる。バサラは後悔している。〝キノさんに頭を下げさせて絞まったと〟
「まあ、落ち着きたまえ。最近、トラピストの使徒が不審な動きをしてるそうじゃないか」
「き、金の事ですか?」
バサラとキノは頭を上げる。
「共存するには増えすぎてしまったんだよ。トラピストの使徒は」
「と、言いますと?」
「金は母船の燃料になるかもしれない。帰ってくれたら、万々歳じゃないか、トラピスト1系列の惑星に」
「確かにそうですが」
「トラピストの使徒は、我々地球人に早めのシンギュラリティ、技術特異点をもたらしてくれた。今や火星や木星の衛星まで直接人間が探査出来る。しかし、しかしだ…………」
織田長官は何やら言葉に詰まってるようだ。
「約40光年もの距離を生物を絶やさずに移動する手段。それと、地球の公転軌道をずらした手段。どちらも、トラピストの使徒は教えてはくれない」
「人間の叡知が結集しても、あやふやな仮説を立てるのが精一杯ですからね」
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