第3章(テロ)

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バサラは織田長官に報告する。 「3日前の爆発テロは小型ビーム兵器かもしれません。チェーンのセンサーで視ました」 「どれくらいのサイズだね?」 「拳銃とほぼ変わりません」 「トラピストの使徒の間でも、トップシークレットの物がテロリストに渡っていると?」 「繋がりはあると思います」 「真田隊員、顛末書を書けば、金の事は目を瞑ろう」 「えっ、減給には…………」 「そうか、減給という手もあったな」 「済みません!」 「ハハハ、冗談だよ」 バサラと織田長官は親子みたいなものだ。バサラは織田長官に育て上げられた。 「真田隊員、君はアンタレスのエースだ。トラピストの使徒の母船に侵入して、深層深部のトップシークレットを盗み出すのだ。手段は選ばなくていい。やってくれるかい?」 「やります!」 「宜しい。キノ君をリーダーとして動いてくれ」 「はっ!」 「それでは、下がっていいよ」 「失礼しました!」 バサラとキノは長官室から出る。 「はぁ~…………力が抜ける。怒られるのかと思った」 「バサラ。織田長官は人格者だ。理を考えているのだろう」 「このチェーンどうしよう。ずっと持ってたけど」 「待機用のチェーンか? 新しい物に交換してもらえ。それより、織田長官にとんでもない要請をされたんだぞ」 「分かってるよ。無茶な話だって…………。取り敢えず、顛末書を書いてくるよ」 「私は情報収集をしよう。それと、他の仲間も集めないとな」 「他の仲間? アンタレス以外にか?」 「織田長官は手段は選ばなくていいと言っていたろ。アンタレスだけでは手に負えんだろう」 「なるほどな」 「顛末書、頑張れよ」 「簡単に言うなよ~。あれは重労働だ」 「ただのデスクワークだろ、ハハハ。じゃあな」 バサラは自分のデスクで、顛末書を書く。難しい。始末書や顛末書は、未だに紙に書くのが決まりだ。変だ、おかしい。犯宇宙人を追いかけてる方が、よっぽど楽だ。バサラは暫く集中する。 「おーい、ハイブリッド。今度は何をやらかした?」 純血の戯れ言だ。 「木村か。今忙しいから」 木村中尉は純粋な人間なのに新型のチェーンを自在に操る。天才肌だ。 「テロを防げずに警官30人が死亡だってな」 「1人重体だけど生きてるよ。それに新兵器による自爆テロだ。不可抗力」
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