第2章(金密輸)

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第2章(金密輸)

夜の森の中。男数人で、ある物を探す。 男の一人はタブレットで座標を見ながら指示を出す。 「よし! ここを掘るぞ。〝チェーン〟を使える奴、出番だ」 呼ばれた者の名前は、真田バサラ。長野県の片田舎で産まれた、25歳。アンタレスという軍隊に所属してるが、1ヶ月の休暇を取り、暇潰しにアルバイトに参加した。穴を掘るだけという話だったが、どうやら違うようだ。 バサラはチェーンの先端をドリルに変化させ、地面を掘る。チェーンというのは宇宙人のテクノロジーで造られた人間用の対宇宙人兵器だ。扱える者は、親機を背中に取り付け、生体プラグを挿して先端の子機をコントロールする。親機と子機はビームの紐で繋がっていて、子機は形状を変えることができる特殊な金属で、ドリル、カッター、ハンド、ナイフ等に変化させる。バージョンアップで、同時に使える子機の数、スペックが上がる。操者の〝デジタル統制力〟で能力が左右される。 ガリガリガリガリーーーー! バサラはチェーンのドリルで堀続ける。 タブレットを見ていた男がバサラに指示を出す。 「20分で掘り出せよ。見回りが始めるからな」 「硬いな。見張りは?」 「大丈夫だ。マシンに見付かってない」 「見張りが二人じゃ心許ないな」 「人数を増やしたら、分け前が減っちまう」 「何もマシンのテリトリーの近くで穴を掘らなくても…………振動で気付かれないか?」 「安心しろ。近くにシンギュラリティのマシンは居ない。それより、エイリアン軍の将校が隠した賄賂だ。数千万円はあるぞ」 「色々調べたんだな」 「その将校は前から怪しい動きをしていた。当たりを付けてハッキングしたのさ」 「なるほど……」 ガコン! キューン…………。 「穴が開いたか」 「こりゃ高硬スチールだな。通りで硬いと思ったら」 「だから、チェーンのバージョン0.8以上の奴を募集したんだよ。さあ、チェーンで中のケースを取るんだ」 バサラはチェーンの先端をハンドに変えて、穴の中を探る。 「おい! 現金も電子マネーのコードもない。代わりにインゴットが3つある」
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