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「ミラさんには最後まで面倒をかけっ放しよね。今日もこうして付き合わせてしまっているし」
帰国する前に、どうしても職業紹介所に顔を出したいとカルダさんに無理を言った。
お世話になったお礼というのもあるし、お願いしている仕事の合否ももう必要がないことをきちんと伝えておきたかったから。
……それに。
モンタさんにも、できればさよならを言っておきたい。
この前の街中でのことは気にはなるし、時間があるのなら相談にくらい乗るくらいはしたかったなとも思う。もっともわたしにできることなんて本当に話を聞くくらいのことだけれど。
今日が街に来れる最後である以上、それすらできないのだが。
ーーせめて、お別れだけでもいいたい。
ありがとうとお礼も。
あからさまに嫌悪や差別を向けられなくとも、人間であるわたしはここでは遠巻きにされていた。
仕事である職業の人は別だけれど、他の周りの人たちはそうだった。
ーーモンタさん以外。
モンタさんだけが人間のわたしに親しげに話しかけてくれた。
いつも会うたびに声をかけてくれた。
カルダさんもシルルもなんだかすごく忙しいらしくて、馬車を使うことと寄り道を一切しないことを条件にミラさんについて来てもらうことになったのだ。
本来の仕事内容ではない役目を押し付けられたミラさんにはまったく申し訳ない話。
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