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……バカね。
いつまでグズグズ考えているつもりか。
わたしの国は貧乏公国ではあるけれど、それでも国を出るまで一度だってひもじい思いなんてしたことがない。
寝るところにも着るものにも困ったことなんてない。
掃除だって料理だって洗濯だって他の誰かがしてくれていた。
今だってこうしてリルがわたしに人をつけてくれているのだって、わたしの身分が関係ないはずがないのだ。
またも無意識に指先は耳もとを探ってしまう。
「リディア様」
どこか改まってわたしを呼ぶミラさんの声に、わたしはそちらを見た。
わたしを見るミラさんの顔は、悪戯っぽく微笑んでいる。
「カランコエの花言葉をご存知ですか?」
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