あべこべアフロディーテ

2/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
男女の友情は成立しない、と誰かが言った。うるせえな、と俺は思った。けれど俺たちが放課後に人目を嫌うのは、もしかしたら無意識のうちにそんな奴らの目を避けているからなのかもしれない。 幼い頃からずっと、恋愛小説が嫌いだった。 一組の男女が必然的に恋に落ちる、あの当然ぶった滑稽さがバカらしくてあほらしくて、そんな当然の恋愛ができない自分がまるで欠陥品のように思えてしまうから。 男と女。小学校でも中学でも高校でも、俺のことを"異性として"好く人間のことが気持ち悪かった。 でも、俺とサヨとの間には、事実そんな感情は存在しない。というか、存在し得ない。 どちらかがそんな感情を抱いたならそれは裏切りで、そうなったら俺たちはきっと絶交。そしてそこで、この放課後限定の友達関係は絶える。 俺はそんなことを望んでいないから、願わくばサヨとはずっと、友達のままで居たいと思う。 君がイヴなら、俺は──。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!