恋とはちがう

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「本日のコーヒーは、マンデリンです」  ダイはグラスをテーブルに置くと、雅志が考えるフリをしているのを察したのか、立て続けに言った。 「ご注文は? 日替わりでいいですか」 「じゃ、それで」 「かしこまりました」  雅志はこの喫茶店で「日替わりコーヒー」以外、頼んだことがない。  ウェイトレスはみんなわかっていた。  その証拠に雅志に対する第一声が、必ず「本日のコーヒーは……」と言う。  それしか頼まないと思っているのだ。  事実、それしか頼んだことがない。
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