Prologue

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Prologue

こんな展開全く思いつかなかった。 突然目の前に天使が舞い降りた。 月並みな表現かもしれないけれど それ以外の表現は思いつかない。 水に濡れ僅かにウェーブがかった ダージリン色の髪の毛から したたり落ちる雫は まるでスワロフスキーのように輝いて 女神の神々しさをより一層深くする。 伏目がちな大きな瞳を縁取る長い睫毛。 上気してはんなりと色付いた滑らかな肌。 タオルが巻かれていても判る はち切れそうな胸。 それとは対照的に キュッとくびれたウエスト。 恥じらうように身体を覆った バスタオルからは 日本人離れした長い脚が スラリと伸びている。 完璧というレベルを通り越してる。 もはや人間離れしていると言っても 過言でない。 こうなると異形に分類されても おかしくはないだろう。 惚ける俺の顔を 女神の視線がゆっくりと捉える。 目に見えないハズの空気が 一瞬波打ったように見える。 この状況……心臓の鼓動が停止しかねない。 花びらのように柔らかそうな唇からまるで 吐息と共に偶然零れ落ちたかのような 言葉……。 「零音(れおん)……私だ……」 ── え? 誰なのソレ。 俺の名前は秋山一(あきやまはじめ)。 人違いだよ? 酸欠の魚みたい口をパクパクさせて 呼吸する事さえ忘れた俺に 女は静かに歩み寄る。 当たり前のように女は隣に座った。 ベッドに座って固まっていた俺を 女は強く押し倒した。 「……駄目?」 ちょ、これって! 駄目とか以前に、貴女ダレ?
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