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「……」
「ほ、ホントだもん!!」
じーっと向けられる疑いの眼差し。
ダラダラと汗をかきつつも全力で訴えかけるとルーちゃんは溜息をつく。そして徐に私の膝から顎を離すと
「ふー……あ、そ。なら俺も一緒に行く」
「な!?そ、それは駄目です!」
「何でだよ?」
「じょ、女子会は女子だけの催しです!ルーちゃんは殿方なんですから、今回はお留守番で!」
「……納得いかねぇー」
「納得いかなくても駄目なものは駄目なんです!お昼までには戻りますから、それまでお昼寝して待ってて下さい!」
「やだ」
「やだ言わない!」
むぅっと不貞腐れる彼を何とか宥めようとする。
それから何とかあの手この手で宥めたり透かしたりを繰り返しーー1時間ほど格闘した辺りで、漸く彼が折れた。
「ふん、もういい。勝手にしろ」
ぷいっとそっぽを向いてベッドに横になると、私に背中を向けて尻尾を丸めてしまう。
あ、拗ねた
いつもならここまで同行を拒否する事はないので、ルーちゃんも少し傷付いたらしい。
ごめんね、ルーちゃん……
でも、でも……後でちゃんと!!
説明するから!と心の中で号泣しながらも、私は部屋を出ようとする。
ルーちゃんとの戦いで思わぬ時間を食ってしまった。
急がないと!
「それじゃあルーちゃん、行ってきますね?」
「………」
声を掛けたものの、彼は完全に拗ねてしまっているのか答えない。しかし、私が出て行く前、チラリと振り返ると視界の端で長い尻尾がフラリと揺れた。
一応、見送りというか
人間で言う所の、軽く手を振る仕草だ
怒ってても、拗ねてても、ルーちゃんはこうして反応を返してくれる。
ああ、ほんとルーちゃんてば優竜。
キュンとしちゃいます。
今すぐベッドに戻ってルーちゃんを思い切り撫で回したい!という類の願望のをグッと堪え、私はとにかく急ぎ足で、フェリシエルさんの待つ客間へと向かった。
「大分時間かかっちゃいましたね、急がないと!」
お昼までには用事を済ませてルーちゃんの所へ戻らないと。じゃないと彼が突撃乱入して来かねない。
ルーちゃんは見た目に反して、ものすごーく寂しがり屋の甘えたさんなので、長く放置すると拗ねる……か、禁断症状で暴走する恐れもあるだけに時間は本当に少ない。
パタパタと小走りをしながら、私は彼女と合流した。
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