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小さなハート型をしたそれらにはストロベリーやオレンジ、ホワイト、モカなどの飾りが付けられ、形こそ悪いが、味見してみた感じは我ながら良く出来たと思う。
「さてと、では私はこれから塔へ出仕しますから後はご自分で何とかなさい」
「あ、はい!お忙しい所、本当にありがとうございました!」
「お礼は結構。……全く、世話の焼ける人ですわね」
「すみません」
「謝罪も結構よ。ほら、私の事はいいから、早くラッピングを済ませておしまいなさい」
「はい!」
私がラッピングに四苦八苦する間、彼女は運ばれて来た遅めのモーニングを嗜み、その間もあれこれと口は出したが最後まで私1人に全てをやらせてくれた。
フェリシエルさんが「まあ、初めてにしては及第点」と口にしたチョコレートを手に、私は急いで客間を飛び出す。
年に一度の聖愛祭。
初めてルーちゃんと過ごす特別な日。
浮き立つ心を抑えきれずに、私は彼の待つ自室へと足取りも軽く駆け出した。
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