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Day story 1-①『ぷろじぇくと “C”』
【Scene:1『早朝の攻防戦』】
ある日の早朝。
私は“ある目的”があり、いつもより大分早くベッドを抜け出そうとした。
まだ日も昇ってません。
いつもなら、がっつりグッスリ寝てる時間。
しかし、今日の私はひと味違う。
超絶早起きです!
ん?何故かって?実は……今日、私にはどうしてもやらねばならない事があるからなんですが……それが何なのかは、まずはベッドを無事に抜け出せてから説明しまーー
「……ーーうわひゃっ!?」
誰にともなく説明しようとした矢先、長い尻尾がぐるりと腰に巻き付いた。
ベッドを抜け出そうとしていた私は片足を床に付けるより前に、早急に寝床へと引き戻される。
「ル、ルーちゃん!?」
「あー?……何だお前、こんな朝っぱらから何処行く気だ?」
言って、くあっと大欠伸したのはルーちゃんだ。
いつもの様にガチンッとトラバサミが閉じる様な凶悪な音を鳴らした後で、彼は深紅の煌めく瞳を不思議そうにパチパチしながら尋ねた。
「散歩か?」
「え!?あ、ええと……まあ、そんな感じで」
「ふぅん、そっか」
返事を聞くと何処か嬉しそうに身を起こし始める。
長い尻尾を私から解き、ベッドでグーッと伸びをした。
「なら、俺も行く」
尻尾が解けたので、これ幸いとベッドを降りた私だったが、続く彼の言葉に動きを止め振り返った。
「……はい!?」
「散歩だろ?行く」
フリフリと揺れる尻尾は彼のご機嫌ゲージが高い証拠。ルーちゃんは寝起きは頗る良い方だが、それでなくとも朝からここまでご機嫌なのは珍しい。
そう言えばここ最近、早朝のお散歩はしてないから久々に一緒にお出かけ出来ると思って喜んでいるのかも知れない。が、だがしかしーーです。
い、いけない!!
これ、着いてきちゃうパティーン!?
「ルーちゃん!ちょっと待った、ステイ!」
「あ?何だよ?」
キョトンとして小さく首を傾げる彼を押し止めると、私は取り敢えず一旦ベッドに座り、ポンポンといつもの定位置を叩く。
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