第3話 ウィッチ・プランセス

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第3話 ウィッチ・プランセス

 近頃、この街でとある事件が話題になっている。女性をターゲットとした”誘拐”だ。なんでも、一日で複数の女性が一斉に攫われ行方不明になっている。その数、累計27人。  この事件は刮目に値する。俺と相棒は前々から見澄ましていて、方途を尽くし捜索していた。判明されたことは、拉致られた女がすべて容姿端麗であること。年齢は20代。顔写真をいくつか観察した俺は、ほとんどの女が花に例えられるくらい美麗であった印象を受けた。  別に花が好きというわけではないが、あのお姫様とつるむようになってから、少しだけ関心を抱き始めていることは確かだ。その所為もあって、自然とそんな印象を受けた、ということになるのだが、特に深い意味はない。  とあるバーで寛いでいた俺は、小型のテレビで放送されている緊急ニュースに目を向けていた。そのニュースによれば、今日、さらに数名の女が拐引されてしまったらしい。俺はウイスキーの入ったグラスを飲み干し、重い腰を上げてバーを後にした。家路へと向かいながら、夜明けの道を歩く。  そこでふと思い出したのは、メルセデスのことだった。  あの女が俺の家に来てから、早くもひと月が経った。     
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