第4話 デッド・プランセス

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第4話 デッド・プランセス

「カルネ・フレグランス」。  世界で名を馳せるフラワーコーディネーターのプロフェッショナル。先祖はかつて国王の葬儀にて、棺桶や庭、城の外観などを、計1億本の薔薇でいっぱいに埋めたそうだ。  しかしこれは“表”の話で、“裏”では道理に外れた植物研究家として活動しているという噂が漏れている。相棒が虱潰しに調べていると、ここ最近で行方不明になった女たちの家から、カルネの屋敷まで足跡が続いていたことがわかった。  女性連続誘拐事件の真犯人と同一人物かどうかはまだ定かではないが、俺の予感では、メルを誘拐したのもヤツに違いないだろう。表でも裏でも、植物を愛でる者。そんなヤツが“闇色の薔薇”に興味を持たないわけがない。  不覚だ。あのオークション以来、一度は姿をくらましたとはいえ、メルを付け狙っていることに変わりはなかったのに。  そして現在。  拳銃を持ったカルネが俺に襲い掛かり、俺は何度も顔や額、首などに向けられる銃口を回避しながら、カルネの急所を狙おうと悪戦苦戦していた。もう「暗殺」とか考えてられない。  カルネの動きは並大抵のものではない。だが、プロでもない。慎重に隙を見出せばすぐに殺れる相手だ。     
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