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明らかに近い。
私はそのまま折り返して、階段を上って行った。
上りも10分は掛からなかった。
これなら、通勤時間も少し縮まるし、なんと言ってもあの坂道より楽だ。
月曜日の朝はいつも出るのがギリギリになってしまう。
土日と休んで、体が怠けてる。
入社して間もないのに遅刻は厳禁だ。
私は急いで支度をして、305号室を出た。
アパルトメント白井の階段を下りて行くと、1階にあの背の高い、失礼な男の人も出て行くところだった。
同じアパートの住民として挨拶をした方が良いのか?
悩んでいると、背の高い男の人から挨拶をして来た。
「おはよう。」
眠たそうな声でボソッと言ってきた。
「おはようございます。」
会社の上司でもないのに、それどころか失礼な男なのに、私は大きな声で挨拶をして、頭を下げた。
背の高い男は大きな声に少し驚いたようだったが、軽く会釈をして先にアパルトメント白井を出て行った。
私も急いで出て行くと、背の高い男の後姿が見えた。
彼はあの急勾配の坂道の方へ向かっていた。
私はアパルトメント白井の直ぐ側の階段道へと向かった。
少し不思議に思った。
あの男性は駅の方へ向かっている様なのに、なぜ近い方の道を使わないんだろう?
彼も引っ越して間もないのだろうか?まだ、この道を知らないのだろうか?
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