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それも、少しずつ足音が大きくなっている。
この階段は狭い。
そして私は人より歩くのが遅めだ。
もし、誰かが急いでいるのなら、私が一旦脇に立ち止まって、追越してもらうしかない。
でも、こんな暗闇で立ち止まりたくない。
背後にいるのが変質者だとしたら?
私は暗闇の中、駆け足で階段を上った。
上り切ると、アパルトメント白井の灯りが見えてきてホッとした。
全速力の上に変な緊張感で暫くアパルトメント白井の前で気を落ち着かせていると、
不思議な事に気づいた。
誰もあの階段から上って来なかった。
先程の足音も公園からだったのか?
直ぐ後ろで聞こえた気がしたのに…
それでも、私は特に気にする事なく、毎日あの階段を通勤路として使った。
違和感を感じたのは、それから4日後の金曜日。
この日は起きたら、もう雨が土砂降りだった。
朝だというのに空が真っ暗。
憂鬱だった。だけど、「雨だから会社を休みます」なんて無理だ。
いつものように急いで支度をして、部屋を出た。
傘を差して、階段の道へ向かう。
ふと、公園が気になった。
階段を通る時に子供の声が頻繁に聞こえた。
こんな雨の日でも遊んでいるのだろうか?
公園を見ると、誰もいない。
それどころか気づいた。
あの階段の上の部分は立ち入り禁止になっており、フェンスが設置されている。
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