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……カノジョができた。
あなたはある日突然、笑顔でこう言った。私の頭の中は真っ白になった。
え? 私たち……、付き合ってなかったの?
口の先まで出ていた、その言葉が言えなかった。大学1年からの十年間すべてがなかったことになりそうで……。
あ、今、ココを読んでる人! 「何、この勘違い女、バカじゃない?」って思ってない?!
同じ美大で同じことを専攻し、アトリエでいつも一緒だった私たち。初めてエッチしたのも、学年末の制作で徹夜続きの意識朦朧とした中の流れだったけど、その冬初めて雪が降った夜で、あなたはとても優しかった。それからは私の誕生日はもちろんのこと、クリスマスイブ(何年かに一度はイブイブ。アトリエでお酒を飲みながら、それぞれ作品を描いていただけだったけど)も一緒にいたし、後輩たちからも憧れの先輩カップルだともてはやされてから。「付き合ってる」と解釈しても間違いないよね?
でも、やっぱり、それは勘違いだったみたい。あなたは少年のように頬を赤らめ、新しいカノジョの話をしている。でも、気づいたの。新しいと思ってるのは私だけ。私が古いカノジョだと思ってるのも、私だけ。あなたにとって、カノジョは初恋だった。
……壊れそう。私は私でいられなくなるのを抑えるので精一杯だった。必死に笑って、あなたの話を聞いた。すると、あなたは破顔し、私を抱き締めた。
「さすが、親友だな。僕のすべてを理解してくれるのは君しかいない」
彼の胸の中で表情が失せていく。……私たち、親友だったんだ。この時かもしれない。殺意が芽生えたのは……。
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