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ウエストフィールドの森で、ついさっき出会ったばかりのジョンは、一瞬でボクを地に落とす魔法をかけたみたいだった。
「捨てられたんだよ、お前は。俺と同じさ」
まるで、今日みたいなどんよりとした曇り空を飲み込んだような彼の顔が、 さらにボクを不安にさせていく。
「ウソだ!」
彼がなんと言おうと、ボクは信じない。
そんなはずはないんだ。
だって、ここはボクが憧れていたウエストフィールドの森。
いつだったか、ボクの大切なお姉ちゃんのメアリーが
「一緒にボートに乗ろうね」と言って、写真いっぱいの本を見せてくれた、あの素敵な湖畔がある場所なんだ。
「だから違う。ボクは違う……。だって、メアリーと約束したんだもん……。ボクとメアリーは、本当に、本当に仲良しだったんだから」
なのに、ボクの胸は小石を詰め込まれていくみたいにどんどん、どんどん重くなっていく。
メアリーがいないんだ。
ボクをここまで連れてきてくれたパパも、いつの間にかいなくなっている。
あぁ、そうか! もしかしたら!!
「湖畔で待ってるのかもしれない!」
ボクは呼び止めるジョンの声を無視して、湖畔を目指して走り出した。
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