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 翌日、事故が起きた。  昼前に散歩に出かけたジジが、前脚を引きずりながら帰ってきたのだ。  慌てて動物病院に運ぶと、骨にヒビが入っていた。  ひっかき傷もあったことから、近くの猫と喧嘩したのではないかと言われた。  新参者のジジが古巣のネコと戦っている姿が目に浮かぶ。  結構気が荒いのだ。  添え木をして、3週間ほど安静にしていれば治るらしい。  みゃあみゃあと訴えるジジ。  脚に負担がかからないよう、横向きに寝かせて背中を撫でる。  その日の夜はお父さんが車で送ってくれることになった。 「仕事は大丈夫?」  お母さんが心配そうに尋ねる。 「往復五時間くらいたいしたことないよ。本当はもっと帰るべきだったんだ」  家に着く頃にはもう真夜中だった。  僕はかごの中で眠りにつくジジにおやすみを告げる。  お父さんにも「また来てね」と伝えると、「ここは俺の家だぞ」と苦笑された。
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