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放課後になり、職員室に呼び出される。
僕は先生の立ち合いのもと、お互いのお母さんの前で事情説明することになった。
アツシは先に帰っていた。今は話せる状態じゃないそうだ。
アツシのお母さんの目線が怖かった。
先生は最初から僕を悪だと決めつけて話を進めた。
言い返そうとする僕を制し、お母さんは僕の代わりに頭を下げる。
お母さんは関係ないのにな。
くだらないと心の中で呟いた。
納得はできないものの、早くこの場が終わってほしい。
僕は黙って口を閉ざしていた。
やがて、最終下校を知らせるチャイムが鳴る。
「彼も反省しているようですし」と先生が言い、その場はお開きとなった。
帰り際、「なんで、お母さんが謝らないといけないの?」と尋ねた。
僕がアツシに謝るならまだわかる。
でもあの場にアツシはいなかった。
あの場で僕が謝らなければならないことってなんだ。
「もう六年生なんだから、自分で考えないとね」
お母さんが諭す。
怒ることはほとんどないが、こういう時に悲しそうな笑みを浮かべる。
僕はそれ以上何も言えなかった。
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