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壱
「やめろよ!」
次の瞬間、アツシは机を蹴とばしていた。
衝撃音の後、静寂に包まれる。
対面する僕に教室中の視線が集まる。
きっかけは些細なことだった。
アツシがうっかり好きな子の名前を漏らし、それを必要以上に僕が弄ったのだ。
正確に言えば僕だけではない。
数日に渡り、ヨータもケンジも一緒になって囃し立てていた。
でも、この場にいたのは僕だけだった。
ジェンガみたいなものだ。
最後に崩したのは僕。
蓄積されたアツシの感情は、僕に向けて爆発した。
しばらくして、誰かが呼んだのだろう。
「どうした?」と、先生が駆けつけてきた。
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