友達サプリ

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 危険ドラッグのように無駄にテンションが上がるわけでもなければ、快感を得られるわけでもない。 今まで過剰に他人に反応していたのが、正常に戻っただけという感覚だった。  ――これが、本来の私なんだ。  友達サプリは本物だった。 きっと今までの私は病気で、あの薬でコミュ障が治療されたのだ。  クラスメイトにも私をからかう者はいなかった。 最初は戸惑いつつも、新しい私を次第に受け入れてくれた。  美香に何かチクリと言われた気もするが、もう覚えていない。 好きなように振る舞っているうちに、大勢の友達のひとりになった。 今では数学で分からないところがあると聞きに来る。 英語と数学は得意だから、国語が得意な美香との関係はお互いに都合が良かった。
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