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あれから一か月が経った。
私は以前にも増してひどい毎日を送っている。
あの村重さんはすっかりほかの女子と馴染み、誰に対しても臆せずに話せていた。
若竹さんだけは相変わらず独りだけれど、そのことで気後れしているようには見えないし、なんといっても美人だ。
――このクラスの女子の中での最下位は、きっと私だ。
……罰が当たったのだろうか。
ひそかに村重さんを見下していたことへの。
視線が怖い。
顔を隠したい。
苦しいけれど何かを変える勇気も出ないまま、苦行のような毎日をこなしていたときのことだ。
「ねえ宮野さん」
放課後、誰かに呼ばれて我に返る。
教室にはほとんど人が残っていなかった。
係りの仕事をやっていたせいで、帰るのが遅れたのだ。
「一緒に帰らない?」
笑顔で誘ってきたのは村重さんだった。
美香グループはもう帰っている。
あの日から彼女たちと行動し始めた村重さんが、一体どうして私を誘うのだろう。
「う、うん」
「今日、××アイスの安い日なんだよね。一緒に食べない?」
「そうなんだ。行く行く」
アイスという気分でもなかったくせに二つ返事で了承した。
ずっと彼女と二人で話したいと思っていたのだ。
どうしてここまでの変身することができたのか。
私にも、その方法は使えるのか。
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