ドリドリと共に

1/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

ドリドリと共に

この日はいつもと違っていた。三月の下旬でミモザの黄色い花が咲き乱れているというのに雪がちらついているのだ。だが彼女たちはそれ程寒さは感じてはいなかった。彼女は公園の池のほとりの屋根のあるベンチに一人で座って遠くを眺めていた。はたから見れば妙な天気の日に公園で一人で遠くを眺めている少女なんて寂しげに映るのだが、彼女は決して寂しくはなかったし、一人ではなかった。 「ねえ、ドリドリ。三月ももう終わりだというのに雪が降るなんて、今日は何か変だと思わない?ほら、ミモザの花があんなに咲いてるのよ。」 「そうだね。私が存在して来た十二年間でこんなのは初めてだ。今年は色々と変化があるからそれの一環なのかな?」 「そうなの!私もそう思ってたの。だって私、今年から中学生でしょ。だからその前触れなのかしら?」彼女は隣に立ち、同じ様に遠くを眺めている人物のドリドリとは会話をしているわけではなかった。ただ心に思うのだ。するとドリドリは彼女の意思を汲み取って彼女に話しかけてくれるのだった。 「ねぇ、ドリドリ。今日の私って何か変かな?」 「そんな事はないよ。でも、いつもとは少し違うかな。」     
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!