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学校が終わるとカラは図書館へ行った。
部活に入ってもお金が掛かるしお腹が空くのでカラは帰宅部だ。かといってアルコール臭のする家には帰りたくない。なのでカラは図書館で時間を潰す。
図書館でカラは沢山の本に出会った。ワクワクするもの、感動して涙が出てしまったもの、難しすぎて意味が分からなかったもの。
そういえば、とカラは伝記本のあるコーナーへ行ってみた。目的の本はすぐに見付かった。
『ヘレン・ケラー伝』
カラはその本を借り、帰りたくもない家へと歩き出した。
「うるせー! さっさと帰れ!」
家の中から怒鳴り声が聞こえてきた。声がしたと思ったら、今度は物が壁や床に投げつけられる音がした。
カラは恐怖で玄関を開けられずにいた。
「いい加減しっかりして貰わなきゃ困るからな」
「うるせーったらうるせー!」
玄関のドアが開いた。その瞬間カラの体は恐怖で硬直してしまった。
「あ、カラちゃん、おかえり」
出てきたのは父親の兄、カラにとってはおじさんだった。
「可哀想になあ、あんな父親じゃ困るよな。あ、お弁当置いておいたから、食べな。また来るね」
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