僕と小さな星

5/17
前へ
/17ページ
次へ
「今日はお兄ちゃんと二人だけどね」  と答えた。   僕は今、花に水をやっている。水たまりから手で水をすくって、花一本に届け、また水を手ですくってという作業だ。疲れる、これは疲れる。もうさっきから歩きっぱなしだ。 「ああ!もう!」  また手から水が落ちた。せっかく目的の花の目の前だったのに。僕はだんだんと腹が立ってきて 「管理人さん、バケツとかないの?一本一本やってたら日が暮れちゃうよ」と不満を漏らした。 「もう根をあげたの?まだ半分もいってないじゃないか。ダメだよ、ちゃんと一本一本丁寧に水をすくってお花にあげて。ちなみにこの星は日が暮れるなんてことはないよ。だから他の星にあるような年間とか時間とかいう概念もない。ずっと同じ景色、同じ温度だよ。だから日が暮れるとか考えなくてもゆっくりやれば大丈夫さ」  管理人さんはそう答えるが僕にとって問題はそこじゃない。花一本一本にこんなに手間がかかることが面倒臭くてしょうがないのだ。僕はそれを伝えたつもりだったのだが、管理人さんにはうまく伝わらなかったみたいだ。というかこの水たまりの水、さっきから無くなっている気がしない。これもこの星の特徴なのかなと思ったが、そんなの今の僕には関係ない。       
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加