僕と小さな星

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 管理人さんの方を見ると、何やら花一本一本に話しかけている。  「睡蓮花さん、今日はお兄ちゃんが来てくれたよ。ううん、兄弟とかじゃないんだけど。今日はお兄ちゃんが水を撒いてくれてるんだ。え?かけ方が荒い?まあ、初心者なんだし許してあげてよ。今度注意しておくからさ」    なんて。そんな調子で花一本一本に話しかけているんだから勘弁してほしい。でも、そのことを僕が管理人さんに伝えれないのは僕の気が弱いから。僕の心が弱すぎて、こんな小学生くらいの子相手でも気が引けてしまう。だから我慢して心の中で不平不満をいうしかないんだ。 「お兄ちゃんさ、もう少し丁寧に水をやれない?お花たちが可哀想だよ」  と管理人さんは僕の近くに来て注意する。なんだよ、こんなに苦労して水を持ってきてやってんのに。文句があるなんてワガママな花だな。と思ってはみるものの、やはり声には出せない。ひとまず、『わかった』とだけ返事して僕はまだ半分以上残っている花畑の花一本一本に水をやる。その間も管理人さんは 「百合さん、今日も可愛いね。シクラメンさん、今日も気品が高い!あ、ひまわりさん、相変わらずニコニコだねー」     
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