七夕情人節~台湾編~

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 いよいよ台湾を発つ空港で、リョウはまたグアムでのことを思い出していた。  あの時は、帰りの飛行機すら別々で、空港で別れることになったんだっけ。旅行で四六時中べったり一緒だったから、余計に寂しくて、状況的に無理なのをわかっていながら『今すぐ一緒に暮らそう!』なんて無茶を言って駄々をこねて、アヤに本気でむっとされたんだっけ。そこで初めて、アヤはアヤなりに一緒に暮らすための準備をしてくれていることを知ったのだった。大阪に住むリョウと一緒に暮らすため、和歌山に新しくできるホテルの支配人になるための勉強を進めている、と。  今はそれが実現し、帰る場所も同じ。同じ飛行機に乗って、同じ電車に乗って、同じ家に帰れる。 「何ニヤニヤしてるの」  リョウが物思いに耽っていると、アヤが覗き込んできた。 「んー……今、めっちゃ幸せやなあって」 【おわり】
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